足りないもの

March 10, 2016

僕がかつて「こいつには敵わない」と思った選手の話。

彼は誰がどう見てもサッカーが下手だった。自分が下手だと自覚し、自信など全く持っていなかった彼はいつも申し訳なさそうな顔をしてプレーしていた。彼のポジションはSB。ヘディングとロングキックが得意、というよりそれしかできなかった。つなごうとするとボール扱いが下手なことがばれ、よく取りどころにされていた。1試合でどれだけボールロストしていただろう。裏もぽんぽんとられていた。なんといっても1対1が弱いことが最大の弱点。反応が致命的に遅いことが原因だった。相手に仕掛けられて対応できず無様にこける姿を何度も見た。

だけど、僕は彼のプレーが大好きだった。

ファーストの時、彼は必ず「OK!!!」と人一倍大きな声を出した。サイド際の1対1、反応が遅い彼は相手の最初の一歩にどうしてもついていけない。相手は悠々と縦に抜けてクロスを試みる。だが彼は諦めない。必死に相手に食らいつき、目一杯足を伸ばし、時には決死のスライディングでクロスを阻止しにいった。相手のシュートチャンス、文字通り身体を投げ出し止めに行く。腹、顔、どこでもいい。そこに恐れは感じられない。まさに捨て身のシュートブロック。低弾道のクロスに頭から飛びこむこともあれば、倒れながら頭でボールをかき出すこともあった。よく滑り、よく転ぶ彼のユニフォームはいつも一番汚れていた。

そんな彼のプレーに僕の魂はいつも震わされていた。彼のミスならいくらでもカバーしに走った。好きというより嫉妬の方が近いかもしれない。僕に彼のプレーはできない、つくづくそう思わされた。恐れも変なプライドも一切なく、ただただ必死でがむしゃら。技術もへったくれもないと身一つで相手にぶつかっていく。彼のプレーを見ていると、「お前は足下が上手いだけ」と言われているような気がしてならなかった。

ファーストで大きな声を出すのも、シュートへ身を投げ出すのも、言ってしまえば誰にだってできること。けれど不器用な彼はその「誰にだってできること」にすべてをかけた。それしかないと言わんばかりに。下手の下手なりの悪あがき。その姿が最高にかっこ悪く、かっこよかった。

今、大学サッカーというカテゴリーの中では、僕は彼と同じ下手くそ。僕に足りないもの。向き合ってきたつもりだった。でも未だに「お前は球際に行かない」なんて言われるってことはそういうこと。本当に悔しいけれど。まだまだ理想からはほど遠い。

誰よりも泥臭く、汗臭く、かっこ悪い。「こいつには敵わない」と思わせる選手になるために。自分の弱さと向き合う一年にしたいと思う。

 

最近の出来事
お前はもとから汚いし、汗臭いよって各方面から聞こえてきそう。
さいきウェルカム。
横田さんおめでとうございます!

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